概要
広島での滞在制作 伝承や自然と人の関係をテーマに
この度、アートギャラリーミヤウチでは、滞在制作と展覧会を実施するアーティスト・イン・レジデンスプログラムを立ち上げました。本プログラムの特徴は、同じアーティストを数年間継続して広島へ招聘するところです。1年間に1ヶ月程度の滞在制作や、制作に関わる調査を継続してサポートすることで、短期間の関わりではたどり着けないような、作品表現の高みやアーティストと地域とのネットワークの広がりを模索していきます。また本プログラムは、2023年に開催した同名展覧会「あたらしい場所」を展開した取組であり、これを踏まえ、第1回目となる今回は、2023年参加アーティストの中から西松秀祐と野村由香を引き続き招聘しました。キュレーションも継続してアーティストの黒田大スケへ依頼し、2名の作品に加え当館のコレクションから広島に関する作品が選出、展示されます。2023年の最初の滞在から数えて3回目を一区切りとして、来年度は大規模な成果発表展を予定しています。広島に何度か滞在するアーティストの眼差しの先に、また新しい広島の場所が立ち現れることを期待します。
🏔 キュレーターメッセージ
ずっとそこにあったものに新しく出会うことがあります。
例えば、毎日わたる橋の欄干に、それまでなかった幾何学模様を見つけたとき。あるいは、路面電車の停車場の、あるはずのない構造物に気がついたとき。それらがずっとそこにあった古びたものだったと認めるとき、あたりまえの風景が全く違ってみえてくる。そんな経験が誰にも一度はあるのではないでしょうか?
これは不思議なことですが、カメラのピントをあわせるような、ごく自然なことでもあります。同じものを見るにしても、焦点をどこに合わせるかで全く違った物語が立ち上がってくる。焦点の無限さと、既にそこにある誰も知らない数多の物語を想像すると気が遠くなります。この世はなんと果てしないのでしょうか。
本展は、西松秀祐、野村由香、それぞれの約1ヶ月に及ぶ滞在の成果と、併せてギャラリーミヤウチのコレクションの中から選りすぐりの広島に関する作品も展示します。慣れ親しんだものや場所でも、少し視点や焦点をずらすだけで、全く新しく感じることがあるように、アーティストの眼差しを窓に、あたらしい場所を探しに来てください。
(黒田大スケ)